答えはきみと同じでいい
入試を終えて自己採点も済んで、少しゆっくりした時間を過ごして。二月の下旬の土曜日。板チョコを持って私はキッチンに籠った。入試の関係で延期にしていた、バレンタインチョコの制作のために。
ここ最近はずっと根を詰めて勉強していたから、こういう風に過ごすのは久しぶりだ。張りつめていた糸が切れてホッとしたのか、どこかぼんやりとした気持ち。チョコを湯煎で溶かしながら色んなことを考える。受験って大変だ。もうあまり体験したくないけれど、大学に行くならもっと大変なことが待っているような気がする。……大学は推薦で行けたりしないかなぁ。
型にチョコを流し込んで冷蔵庫に仕舞って、トッピングの準備。今年は凝ったものは作れないと予め宣言しておいたから、手順がずっと少ない。……来年のバレンタインはちょっと凝ったものにしようかな、と思ったところで、そもそも来年のバレンタインは会えないのではないかということに気が付いた。……そうしたら、チョコ、作らなくなるのかな。……トッピングは出来る限り凝ることにした。
無事にチョコレートが完成して、ラッピングもして、日曜日の夜に鳴の部屋を訪れる。
「遅くなってごめんね」
「くれればいーよ。入試無事に終わってよかったね」
推薦で進路が決まった組は、ピリピリとした入試組の人に気を遣うことが多くて、鳴なりに大変だったらしい。確かに、ここ数ヶ月は私の都合を優先してもらってたからなぁ。
「それでさ! 考えたんだけど」
「何を?」
早速ラッピングを開封してチョコを食べ始めた鳴が口をもごもごさせながら言う。
「これから確実に会えるのって多分年末年始だけじゃん」
「そうだね」
鳴は八王子の学校の寮に入って、私は家から電車で数駅離れた場所の学校を選んだ。滑り止めの私立もそう遠くない学校だ。寮生活で野球一色に染まるであろう鳴の高校生活。……受験勉強であまり考えないようにしていたけれど、少し寂しくなってきた。
「だからさ! 会えた時に誕生日プレゼントの交換と、バレンタインとホワイトデー一緒にやろ!」
チョコを溶かしながら考えていたことを見透かされたようだ。でも、これが鳴。……さすが、鳴。
「……鳴、私の誕生日プレゼント買う余裕あるの?」
「多分ない! だからさ、なるべく年末年始でも買えるやつにして」
「なかなか難しいこというね……」
お正月に買ってもらえそうな誕生日プレゼントって、何だろう。年末のうちに買いに行った方がよさそうだな。……一緒に買いに行くのがいいかもしれない。
「どう!?」
凄くいいことを思いついただろうと得意満面の笑みを浮かべる鳴。
私の答えは、もちろん決まっているのだった。
Title : 惑星