イザーク、ラジオに出る
「ラジオに出る?」
「あぁ。出ると言っても、最初に少しコメントして、メインで話すやつに話を振って終わりだ。三十秒もないんじゃないか?」
「でも、番組名にあなたの名前が付いてるじゃない」
「それは俺も言ったんだが、そういうものなんだそうだ」
「…………よく引き受けたわね」
「…………議長命令だそうだ」
(やっぱり、乗り気では無いのね)
「…………どこで流れるの?」
「軍本部の食堂とかじゃないか?」
「知らないのね……。それにしても、ザフトも色んなことをするのね。ちゃんと話せるの?」
「部下に訓示するのとそう変わらないだろう。大丈夫だと思うが」
「収録っていつ? 見学とか行けるの?」
「一分も無いんだぞ。恥ずかしいから来るな」
「………………」
(大丈夫なのかしら……。ラジオとか、ディアッカの方が向いてそうだけど。それにしても、気になる。音源って、どこかでもらえたりしないか、伝手を当たってみよう)
***
「お疲れ様。収録、どうだった?」
「……………………」
「……失敗したの?」
「違う! 途中で警報が鳴って、慌てて出撃しようとしたら、リアリティを出すためのもので、本物の警報じゃないと言われたんだ」
「それは…………」
「周りはみんな笑っていたが、俺にはとても笑えん」
「…………随分と、平和になったものね……」
「………………このまま、終戦になればいいんだけどな」
***
(意外と……ちゃんと出来ている……。怒っていたのはこれね…………。種明かしされているから、落ち着いて聞いていられるけれど……。確かに、今の情勢で急にアラートが鳴ったら慌てるのも無理は無い……。それにしても、ラジオに出るなんて、不思議な話。そういえば、昔地球で、アスランの捜索について話すときも、演技がかった話し方をしていたし、……以外と向いてたりするのかも……。これ、エザリア様に聞かせたら、怒るかしら……。…………やめておきましょう。このデータのことも、内緒にいておきましょう)
2023/02/11に開催された『SEED IMPACT 20th anniversary』にて配布したペーパーより再録。